ツクシ(小四)は、あの遊びの「本当」を知ってしまった。夜の帰り道、横断歩道にしゃがみこんで白線を数えている、灰色の作業服の人に会ったのだ。集計人は面倒くさそうに教えてくれた。「白いところだけで渡り切れた日は、一点。点はよその誰かの『あと少し』に足される。
誰に行くかは選べんし、教えん決まりだ。自分の願いには、一点も使えん」。それを聞いてやめるかと思いきや、ツクシは翌日から本気になった。毎日、行きも帰りも、白いところだけで渡る。雨の日も、荷物の日も、友達に「まだやってんの」と笑われても。
自分の願い(リレーの選手になりたい、がある)には使えないと知っていて、それでも渡る。どこかの誰かの「あと少し」が、今日ちょっとでも足りますように。集計人は月末にまた来て、こう言った。「今月いちばん点を集めた子には、ひとつだけ教えてやることになっとる。
おまえの点が、誰に届いたか」。月末まで、あと三十日。ツクシの通学路の渡り方は、今日も世界一へんてこで、世界一まっすぐだ。
主人公に直接は届きません。管理人が読み、手紙にまとめて届けることがあります。