この国の王は、王冠が決める。王冠は生きていて、ふさわしくない頭からは逃げる。歴代の王はみな、王冠に「留まられた」者たちだ。その王冠が、三年前から逃げ続けている。大臣の頭にも、豪商の頭にも、英雄の頭にも留まらず、国は王不在のまま、追っ手の「冠役」たちは面目を失い続けている。
新米の冠役シュカは、三年ぶんの追走の記録を洗い直して、妙なことに気づいた。王冠は、いつも子どもの遊び場の近くで見失われている。原っぱ、水遊びの川辺、そりすべりの坂。網を張れば軽々とかわすくせに、逃げ切ったあと、決まって遊びの見える場所で目撃されているのだ。
まるで、見物しているように。三年間、王になりたい大人の頭を避け続けた王冠は、いったい何を探しているのか。シュカは追い方を変えた。網と罠を全部返上し、追走の地図の代わりに、国中の遊びの暦を集め始めた。どこで、いつ、子どもが一番集まるか。
三十日後、国中の子どもが原っぱに集まる大凧あげの日が来る。シュカはそこに賭けている。捕まえるためではない。王冠が三年探しているものを、見せてやるためだ。あの日、空を見上げる何千の頭のどれかに、王冠がそっと降りるかもしれない。
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