ケンゴ(小六)の一家は、念願のマイホームを建てていた。基礎工事の二日目、重機が止まった。土の中から素焼きのかけらが出たのだ。役所の人が来て、宣告された。「埋蔵文化財の調査に入ります。工事は当面中断です」。父は頭を抱えた。仮住まいの家賃と住宅ローンが二重にのしかかる。
調査はひとまず三十日——ただし「大きなものが出れば」延びる。ケンゴは決意した。一日でも早く終わらせるため、発掘を手伝うのだ。調査員のスミレさんに直談判し、土のふるい方と刷毛の使い方を教わり、放課後は現場に通った。ところが、である。
五日目、ケンゴのふるいの上に、小さな土の玉が残った。穴のあいた、明らかに人の手で作られた玉。スミレさんの手が止まり、声が変わった。「これ、この土地からは出ないはずのもの」。早く終わらせるために掘っていた少年は、その日から、延びてほしくて掘っている。
我が家の下に、千年前の誰かの暮らしが眠っている。ローンと浪漫の板挟みは、父の胃だけが知っている。
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