第1話

ドッジボールの世界線昨日の読了 0約1分

小五のシュンは、投げるのはクラスで一番弱い。だが「当てられない」ことにかけては、たぶん県で一番だ。半身の構え、ボールから目を切らない足運び、外野の死角の計算。シュンのチーム・みなと東ファイターズはエース不在の弱小だが、シュンが最後の一人で延々と生き残り、時間切れまで逃げ切る戦法で県大会を勝ってしまった。

全国の初戦の相手は、剛球のダンジョウを擁する優勝候補。抽選会でダンジョウは言った。「逃げてるだけのやつが、ボールに触りもしないやつが、コートに立つなよ」。その夜、シュンは初めて悔し泣きした。逃げるのは、技術だ。おれが当てられなければ、チームは負けない。

それは恥ずかしいことじゃない——はずだ。全国大会は三十日後。逃げを極める特訓が始まる。そして監督は、最後にひとつだけ課題を足した。「最後の一人になったら、一球だけでいい。逃げるな。投げ返せ」。

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