王都の導き犬は、最初の一年を「歩き親」の家で育つ。歩き親のフク婆は、これまで四十二頭を育て、四十二回手放した。渡した犬とは二度と会えない。犬の心が里に戻らないための、決まりだ。四十三頭目のチビが、三十日後に旅立つ。フク婆の家の柱には四十二本の傷がある——それぞれの犬の、旅立ちの日の背丈だ。
彼女の願いはひとつだけ。会いに行くことは禁じられている——だが偶然なら、禁じられていない。いつか街角で、白い胴輪をつけて誰かの隣を歩く「卒業生」と、すれ違いたい。向こうは仕事中だから、気づいても尻尾を振らないだろう。それでいい。
振らないのを見たい。ちゃんと振らないでいられるほど、立派になったのを見たい。
主人公に直接は届きません。管理人が読み、手紙にまとめて届けることがあります。