戦火で野原ごと焼かれ、この世から絶えた花がある。最後の種が七粒、種継ぎのオリザの手元にある。眠らせれば数年で発芽力が死ぬ。蒔けば増やせるかもしれないが、鳥に、霜に、病気に食われて減るかもしれない。先代から受け継いだとき、種は十二粒あった。
五粒減らしたのは彼女だ。この花は蒔いてから二十八日で咲く——今日、何粒蒔くかを決めるところから物語が始まる。願いはひとつ、絵でしか見たことのない「この花の野原」を一度見ること。七粒では、野原にならない。学芸士は言う、「永久凍結袋で完全保存すべきだ。
蒔くなど正気ではない」。凍らせれば完全に守れて、二度と咲かない。
凍らせて守れという声が、また増えた。
主人公に直接は届きません。管理人が読み、手紙にまとめて届けることがあります。