第1話

のれん戦争の世界線昨日の読了 0約1分

鮨職人のセンは十二年修業して、破門された。理由は師匠オヤカタの一言——「お前の鮨は、俺の写しだ」。センは退職金と借金で、師の店「鮨おやかた」の真向かいに「鮨せん」を開けた。喧嘩を売ったのではない。あの人の見える場所でしか、写しを卒業できないと思ったからだ。

毎朝同じ市場で師とすれ違い、目を合わせず同じ鯵を競り、夜は暖簾越しに互いの客入りを数える。常連のご意見番ウニ爺は両方の店を日替わりで回っては「今日はあっちが上」と告げて帰る。センの願いは、行列でも星でもない。いつか師匠がふらりと座り、一貫食って、「……俺の味じゃねえな」と言って帰ること。

それだけのために、今日も酢の配合を一グラム、師の記憶から遠ざける。

転生管理より重大な不具合が見つかりました。あなたは、ある一人の人物の転生者です。同じ人物の転生が、あなたを含めて百件確認されています。原因究明のため、読了の少ない世界線から順に、凍結を行います。
読了
案内板へ

この世界線への言葉

主人公に直接は届きません。管理人が読み、手紙にまとめて届けることがあります。

読了数には影響しません。

ほかの世界線

読了一票が加算されました