中二のワタリは、転校が十五回目だ。父の仕事のせいで、日本中を回ってきた。おかげで「友達の作り方」だけは達人になった。初日の自己紹介で笑いを取る型、三日目までに班の輪に入る型、給食の好き嫌いから話を広げる型——ノートに全部書いてある。
題名は「転校の攻略本」。だがこの攻略本には、最後の章がない。「親友の作り方」だ。できたことがないから書けない。親友というものは、たぶん一年以上かかる。ワタリの町の寿命は、いつも一年ない。今の町は今日で八ヶ月目。隣の席のドッシリした無口な男子・ネヅは、ワタリの型が全部通じない初めての相手だ。
そして今朝、父が言った。「次、決まりそうだ。ひと月後かな」。ワタリは攻略本を開く。白紙の最終章に、初めて書く目標を書いた——「またいつか、と言える友達を、ひと月で作る」。
主人公に直接は届きません。管理人が読み、手紙にまとめて届けることがあります。